車の任意保険は必要?母の10対0事故で分かった自賠責の限界と車両保険の選び方

暮らしとお金

車の保険に「任意」と付いていると、入らなくても何とかなると思うかもしれません。ですが、事故で相手の車を壊したとき、自分の車が使えなくなったとき、誰がその費用を負担するのでしょうか。

私は、任意保険は自分と家族を守る備えであり、同じ道を使う相手へのマナーでもあると思っています。母が被害に遭った追突事故と、先日、猫が車のエンジンルームから出られなくなった場面を通じて、その思いが強くなりました。

この記事では、自賠責だけでは足りない理由、対人・対物賠償と自分のけがへの備え、車両保険の考え方に加え、ロードサービスとJAFの違いを、私の体験から整理します。

任意保険は「相手」と「自分」に備える

私の結論は、対人・対物賠償は無制限を基本にし、自分や同乗者への補償も確認する。車両保険は車の価値と家計で判断するというものです。事故の損害を相手が払ってくれるとは限りません。逆に、自分が事故を起こせば相手の暮らしにも影響します。

「任意」でも、自賠責だけでは足りない

自賠責保険は加入が義務付けられていますが、補償するのは原則として事故の相手や同乗者の人身損害です。被害者1人当たりの限度額は、傷害120万円、死亡3,000万円、後遺障害は程度に応じて最大4,000万円。相手の車や建物、運転者本人のけが、自分の車の損害は対象外です。国土交通省:自賠責保険・共済の制度概要/日本損害保険協会:自賠責保険の補償範囲

備える損害確認する補償・自賠責だけで足りる?
相手のけが・死亡対人賠償 自賠責だけで足りる?:限度額を超える損害には足りない
相手の車・建物など対物賠償 自賠責だけで足りる?:対象外
運転者本人のけが人身傷害など 自賠責だけで足りる?:本人のけがは対象外
自分の車の同乗者のけが人身傷害など 自賠責だけで足りる?:同乗者は対象になり得るが、限度額がある
自分の車の修理・買替え車両保険など 自賠責だけで足りる?:対象外

対人・対物は無制限を基本に考える

日本損害保険協会は、対人事故で億単位の賠償となる例を示し、対人・対物の契約金額を無制限にすることを勧めています。私も、日常的に運転するならここを削るべきではないと思います。ただし「無制限」とは、法律上負う賠償責任についての支払限度額です。自分のけがや車まで無制限に補償する意味ではありません。日本損害保険協会:自動車保険/同協会:保険金額「無制限」の意味

母の追突事故で分かった「被害者側」の備え

母は信号待ち中に後方から追突されました。母に過失のない、いわゆる「10対0」の事故です。車は全損し、母は打撲を負いました。相手が加入していたのは自賠責保険だけ。自賠責では車の損害は補償されません。その後、相手と連絡が取れなくなり、母は車の代金を受け取れませんでした。事故の後に相手に逃げられた、私たち家族の実体験です。

一方、母自身が加入していたあいおいニッセイ同和損保の任意保険が助けになりました。弁護士費用や代車の補償があり、打撲で5日以上通院した結果、一時金10万円も受け取れました。同社が案内する傷害一時金特約には、治療日数が5日以上の場合、打撲などで10万円を支払う条件があります。ただし、支払いは契約内容や事故の状況によって異なり、誰でも同じ額を受け取れるわけではありません。治療費についても「すべての事故で無料」とは言えません。あいおいニッセイ同和損保:おケガの補償

相手に任意保険がない場合でも、相手の自賠責による人身損害の補償や、自分の保険の人身傷害などを使える可能性があります。相手に自賠責もない場合には、政府保障事業の対象となることがあります。一方、政府保障事業は車の損害を穴埋めする制度ではありません。日本損害保険協会:相手が無保険だった場合/国土交通省:被害者の救済

自分が悪い事故にも、被害者になる事故にも備える

対人・対物賠償は相手への責任に備えるもの。自分や家族のけがには人身傷害を確認します。人身傷害は、契約の範囲内で、過失割合にかかわらず約款の基準に沿って損害を補償する仕組みです。車外の事故まで対象か、契約車両に乗っている間だけかも確認したい点です。日本損害保険協会:人身傷害保険

「無保険車傷害」という名前から、無保険の相手にぶつけられた車の修理代まで出ると思いがちですが、一般的には無保険車との事故による死亡・後遺障害に備える補償です。母のような車の全損を、それだけで補えるわけではありません。日本損害保険協会:無保険車傷害保険

猫がエンジンルームに。事故以外にも車のトラブルは起きる

先日、仕事を終えて先輩・後輩と3人で地元の飲食チェーン店にいたとき、都心ナンバーの車に乗るご家族から助けを求められました。猫がエンジンルームに入り、1時間以上出てこない。ご家族は自力で何とかしようとしていましたが、帰れずに困っていたのです。

私は「JAFか、保険のロードサービスはありませんか」と声をかけました。返事は「どちらもない」。そこで私たち3人が仕事で使う工具などを使い、猫を車の下へ誘導して、エンジンルームから無事に出しました。そのご家族が足止めされていた時間は、合計で1時間半ほどでした。

ただし、相手の保険会社を尋ねたわけではなく、任意保険に加入していたかどうかも分かりません。「ロードサービスがない」との返答だけで、無保険だったと決めつけることはできません。JAFの会員サービスと保険付帯のロードサービスは別で、JAFには非会員でも有料で救援を依頼できます。保険付帯のサービスで猫の救出まで対応するかは、契約内容によって異なります。JAF:自動車保険のロードサービスとの違い/JAF:非会員の救援について

JAFは、エンジンルームに猫がいる場合はエンジンをかけず、解決しなければ救援を依頼するよう案内しています。今回は偶然、工具を持つ私たちが手伝えましたが、車の下にもぐっての作業を誰にでも勧められるわけではありません。困ったときの連絡先を知り、保険にロードサービスが付いているなら、何を頼めるか確かめておく。事故以外の不測の事態にも備える大切さを、この出来事から感じました。JAF:猫などの鳴き声がする場合の対処方法

車両保険は「新車か中古車か」だけで決めない

ここからは自分の車を守る車両保険の話です。車両保険の保険金額は、通常、契約時の同車種・同年式などの市場販売価格相当額を基準に設定します。購入時に払った金額がいつまでも全額戻る仕組みではありません。日本損害保険協会:車両保険金額の決め方

状況私の考え方・確認したいこと
新車・ローン残債あり車両保険を前向きに検討 確認したいこと:保険金額、免責、新車買替特約の条件
中古車・買替え費用を貯蓄で賄える車両保険を外す選択もある 確認したいこと:年間保険料の差、修理・買替え時の負担
中古車でも車が生活・仕事の必需品年式だけで外さない 確認したいこと:修理費をすぐ払えるか、代車が必要か

私なら、新車の最初の3年は手厚く考える

新車は大きな損害を受けたときの家計への影響が大きく、傷も早く直したくなります。私なら初回車検までの3年ほどは車両保険を前向きに検討し、その後は毎年見直します。これは私の判断の目安であり、「3年を超えると補償されない」という意味ではありません。新車買替特約には、保険会社ごとに車齢や損傷の条件があります。

中古車なら「保険料の差」と「現金で払える額」を比べる

車両保険を付けた場合と外した場合の年間保険料を同じ条件で見積もり、免責額と、いま車を失った場合の買替え費用を並べて考えます。少額の修理を自費で払えるなら、保険を使った後の等級と翌年以降の保険料も確認します。盗難や台風・洪水による保険金請求と、衝突事故による請求では、等級への影響が異なる場合があります。日本損害保険協会:ノンフリート等級

車両保険の補償範囲が狭いプランでは、単独事故や当て逃げが対象外となる商品もあります。台風・洪水と、地震・噴火・津波も扱いが異なり、後者は通常の車両保険では原則として対象外です。免責と対象事故をセットで読みます。日本損害保険協会:車両保険の対象と注意点

契約を見直すときの6項目

  1. 対人・対物賠償を無制限にしているか。
  2. 自分と同乗者に対する人身傷害の金額・範囲は足りるか。
  3. 弁護士費用特約の対象と、家族の別契約との重複はないか。
  4. 車両保険の保険金額、免責、対象事故が今の車に合っているか。
  5. 車がないと生活や仕事に困るなら、代車・レンタカーの利用条件を確認したか。
  6. ロードサービスの連絡先、対象となるトラブル、利用条件と、JAFの加入状況を把握しているか。

仕事で車を使う方は、通勤のみなのか、業務にも使うのかを申告内容と照らし合わせてください。運転者の範囲や年齢条件も、家族の実際の運転状況で見直します。ソニー損保:車の使用目的と保険

まとめ|削る順番を間違えない

任意保険は、事故の相手に責任を果たすためのマナーであり、自分と家族の暮らしを守る備えでもあると思います。対人・対物無制限を土台に、人身傷害を確認する。そのうえで車両保険を車の価値と家計に合わせて選ぶ。母の事故で「相手から回収できない」現実を知り、猫の救出で「困った瞬間に頼れる先を知る」大切さを感じました。保険証券や契約画面を開き、いざというときに使う連絡先まで確認しておきたいです。

次の記事では、各社の車両保険と特約を公式情報で比べます。

※2026年9月時点で確認した公的機関・業界団体の説明を基に執筆しました。保険金の支払条件は商品、契約始期日、約款、事故状況によって異なります。

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